FEMTECH IN FUTUREVol. 02 フェルマータが見据える未来
2021.10.01
世界のフェムテックに関連するプロダクトを日本に紹介し、“誰もが生きやすい世界”のためのプラットフォームを作るべく様々な取り組みを行なう企業〈fermata(フェルマータ)〉。月経にまつわる悩みを解決するためのアイテムを紹介した1回目に続き、2回目となる今回はフェムテックが解決できることの更なる可能性を探ります。
ライフステージによって変化する悩みにアプローチする。
前回〈fermata〉誕生のストーリーや、ご自身も愛用する吸水ショーツのおすすめなどをお聞かせいただいた〈fermata〉のカマーゴ・リアさん。アメリカ・マサチューセッツのウェルズリー大学で女性とジェンダー学を学んだ後に帰国し堪能な語学力を生かして海外メーカーとのコミュニケーションなどを担当する彼女は、「フェムテックは、月経周りのことだけに限られません」と語ります。
女性の健康課題の数だけ、新しいアイテムが生まれる。
月経カップや吸水ショーツなど、月経に関連するアイテムは日々拡充され認知も広まってきている実感があります。〈fermata〉の次なる目標について尋ねてみました。
「“フェムテック ”は、フィメール+テクノロジーの略。月経がある期間だけではなく、生涯の悩みに寄り添うソリューションが必要です。日本は高齢化社会で、かつ女性の長寿率が高いにも関わらず、まだまだ社会において“更年期”というトピックに対するソリューションが少ないんですよね。2020年4月に〈fermata〉が発表したマーケットマップによると、『更年期・閉経』カテゴリに該当する日本国内のフェムテック企業は発表時点ではほとんどありませんでした。でもサプリや運動だけでは、解決しきれない悩みがあるはずです。例えば、アメリカでは更年期ののぼせやほてりの対策として手首を温めたり冷やしたりして体温調整をするウェアラブルアイテムも発表され、投資の対象としても注目されています。更年期に悩む女性だけではなく、健康管理をしたい全ての人に使っていただけるアイテムですね」
もっと社会と連携して、望む未来を近づけたい。
まだまだ多くの可能性が秘められているフェムテック 。日本での認知度は低いが妊活に関連するアイテムもあり、ファーストステップのサポートとして期待できそうです。〈fermata〉が目指す世界を実現するには、「社会との連携も必須です」とリアさんは言います。
「妊活関連のアイテムは、これからもっと増えていくと思いますし、進化していくべきだと思います。知識や認知を向上させるために話す機会を増やすことも大切ですが、フェムテック関連のプロダクトやサービスの使用が保険適用になったり、医療との連携をともなったサービスができるようになるともっと良いですよね。商品開発と同時に、行政など公的機関とも連携して制度を整えていくことが、多くの人の選択肢を増やすのには重要です」
「『fermata store in New Stand Tokyo』の“妊活フェア”では、妊活初期をサポートするグッズを揃えています。例えば、オランダ発の妊活フェムテック、子宮口キャップ『ファーティリリー カップ』は、創業者自身が妊活に悩んだ経験をもとに医師とともに開発した、妊娠を望む方が初期段階から使用できる妊活アイテムです。fermataが日本国内における独占販売権を取得し、妊娠を望む方向けに医療機器として展開できるようになりました」
実際に触れて、確かめて、生活に取り入れてみる。
実際、取り入れてみようとしたときに直面する壁は、「触れられる場所が少ない」ということ。実店舗「fermata store in New Stand Tokyo」では取り扱う吸水ショーツを試着することができ、新しいアイテムに挑戦するハードルを下げています。
「フェムテックという言葉が少しずつ浸透し、アイテムを取り入れる人も増えてきていますが、まだまだ実際に吸水ショーツを手にとれる場所は少なかったと思います。店舗では、実際に試着しながら、国内外の複数ブランドの商品を比較することができます。ぜひお店で、世界中の商品を試して、自分にあったものを探してみてくださいね」
更年期に妊活……、変化し続ける女性の生涯の悩みに寄り添い進化するフェムテック。それは同じ悩みを抱える人が世界中にいるということでもあります。そう考えるとどこか心強く、モヤモヤが晴れる希望が感じられました。自分のモヤモヤと向き合い、ライフスタイルに合うフェムテックアイテムを取り入れることで、当たり前と思っている“生きづらさ”から解放される可能性を、〈fermata〉が示してくれました。
TEXT: RIO HIRAI
PHOTO: SOICHI ISHIDA
fermata
「あなたのタブーがワクワクに変わる日まで」
日本のフェムテック市場を創出し、今まで「仕方ない」と見過ごされてきたウェルネス課題への解決策を届ける。
https://hellofermata.com/
New Stand Tokyo
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エディター RIO
大学在学中に編集アシスタントをスタートし、2016年独立。
ライフスタイル全般の様々なテーマに取り組みながら自分の働きやすさを追求した結果、
フェムテックに助けられ、女性誌で特集を担当するように。