KEEP WARM冷えを学び自分をいたわる暮らし方 薬膳茶レシピ編
2020.12.25
中医薬膳営養師である藤井愛さんにお話を伺いながら、全3回の連載に分けてお届けしてきた冷えのタイプとその解消法。最後となる第3回目は、冷えタイプ別に自宅で簡単に作れる「薬膳茶」のレシピをお伝えします。手軽にできて、味も抜群に美味しいレシピです。薬膳茶を飲まなくては! と肩に力を入れずに、美味しいお茶のレシピで身体にもよくてラッキーというくらいのリラックスした気持ちでお楽しみくださいね。
薬膳茶を生活に取り入れることのメリット
日々の生活に楽しみながら薬膳茶を取り入れている藤井愛さん。薬膳茶がある生活とは日常にどんな変化をもたらすのでしょうか? 「朝起きて、ちょっとなんか今日はだるいし、外出しなくちゃならないけど行きたくないなあって日がありますよね? そんな時こそ薬膳茶を飲んでほしいなあと思います。例えばなつめ黒糖茶なら、朝ごはんを作っている間に、生姜となつめと黒糖をコトコト煮るだけで簡単に作れます。ブレイクタイムには、身体を冷やしてしまうコーヒーではなく、芯からあたためてくれる薬膳茶で冷えを解消してみてください」。
毎日を楽しく過ごすためのスイッチ。
藤井さんにとって薬膳茶は日常生活における気分転換のスイッチでもあるそう。 「冷えに対してのアプローチとしてはもちろんですが、お茶で身体があったまることによって、さっきは外へ出たくないと思っていた気持ちが、いけるかも!と前向きになれることもある。 薬膳の力を借りて気分転換になるというか。たかが気分転換だけれど、侮れません。気持ちが変わると、きっとその先にある運まで変わると思うんです。イライラする時は柑橘系のものを入れると気持ちがスッキリするとか、自分のことをわかっているとお茶で対処できていいですよね」 身体の不調だけでなく、心にも作用するお茶のレシピを知っておくことは、自分自身の機嫌をとる意味においても良さそうです。
冷えタイプ別のおすすめ薬膳茶レシピ
3つの冷えタイプ別に藤井さんが適した食材をブレンドした薬膳茶レシピを考案。どれもカフェで出てきたら、薬膳茶と気づかないほど美味しい味なのでぜひお試しください。
気虚(ききょ)におすすめの薬膳茶
なつめ生姜黒糖茶
気と血を補い、脾と胃を丈夫にするなつめは「1日3個食べると歳を取らない」と言われるほど、老化防止に効果的で、気が足りない気虚にうってつけの食材。身体を即座に温める生姜とも相性が良く、黒糖は甘みに加え、食欲不振、疲労、下痢の回復にも効果的なので、胃腸が弱い気虚タイプを優しくフォロー。
Recipe
材料と作り方(2人分)
切り込みを入れたなつめ3個、スライスした生姜4枚を600mlの水で10分ほど煮て、大さじ1/2の黒糖を入れ2-3分煮出したら完成! なつめと黒糖のまろやかな甘みに生姜のアクセントがちょうど良いバランス。
腎虚(じんきょ)におすすめの薬膳茶
シナモンアーモンドミルクプーアル茶
シナモンは老化を防ぐ抗酸化作用が高く、様々な漢方薬にも使用されており、桂皮アルデヒドという成分が末梢血幹細胞を拡張し、手足の先まで血を巡らせます。全身に強い冷えが出やすい腎虚が頼りたいスパイスです。高い抗酸化作用のあるアーモンドはアンチエイジングにも。プーアル茶は発酵度が高い茶葉で脂肪の分解を促進し、温める作用が期待されます。
Recipe
材料と作り方(2人分)
桂皮(シナモンパウダーの場合は適量)とプーアル茶を400mlの水で5分煮出し、180mlのアーモンドミルクを足して2分ほど火にかける。メープルシロップで飲みやすい自然な甘さに。薬膳茶だけど飲みやすいカフェテイストな女子ウケ抜群な味わい。
気滞瘀血(きたいおけつ)におすすめの薬膳茶
ローズマリーはちみつ柚子茶
記憶力や集中力UPに効果的で頭をスッキリさせるローズマリーは血行促進作用が期待されます。血の巡りが悪くて冷えてしまいがちな気滞瘀血タイプの巡りを助けてくれます。時に鎮静作用もあるので、頭痛やイライラの時にもおすすめです。柚子は気を巡らせ、食欲不振にも効果的。身体を冷やす白砂糖ではなく、はちみつで甘みをプラス。
Recipe
材料と作り方(2人分)
洗ったローズマリー1本とスライスした柚子1個分を600mlの水を少し煮出す。お好みの甘さにはちみつを加えて完成。柚子はちみつの甘みにローズマリーの苦味が心地よい大人も楽しめる薬膳茶。
薬膳茶を作る余裕がないときは、ティーパックの「なつめ茶」や「なつめチップス」など、薬膳のアプローチができるお茶やフードを気軽に取り入れてみるのも手。たまに気合いを入れて頑張るよりも、ゆるっと毎日続ける方が身体には優しいもの。既製品も上手に取り入れながら、冷やさないようにケアしましょう。
薬膳茶というと、苦かったり変な味がしたりするけれど、身体のためにがんばって飲むものという先入観がありました。しかし、取材時に藤井さんがレシピの通りに入れてくれる薬膳茶がとっても美味しくて、びっくり! 普通におもてなしのお茶としてゲストに出したら喜ばれるレベルの味でした。藤井さんは薬膳の食材の本を参考にしながら、まるで香りを生み出す調香師のように、自由にお茶のレシピを生み出していて、そんなところも楽しそうでとってもいいなと思いました。連載を通じて、自分の身体に少しでも興味を持つきっかけとなり、ひとつでもやってみようかなと思ってもらえたら、私だけでなく、あなたの身体もとっても喜ぶはずです。
TEXT: AYAKO UENO
PHOTO: SOICHI ISHIDA
エディター AYAKO
雑誌のビューティ担当などを経てフリーに。気になるコスメや美容法はすぐにトライする派で最近はインナービューティに興味津々。
料理と美味しいお店探しも大好きな食いしん坊。