KEEP WARM冷えを学び自分をいたわる暮らし方
2020.12.04
ニューノーマルな暮らしになってから、免疫力という言葉も身近になり、前よりも自分の身体の調子に敏感になっている人も多いのでは? 冬に向けて、身体の不調の原因になる「冷え」とその解消法について、中医薬膳営養師である藤井愛さんのご自宅でお話を伺いました。3回の連載に分けてお届けします。第1回目は、「冷えと冷えのタイプ」を知るというお話。自分の身体を知ることは、自分をいたわることにつながります。藤井さんの暮らし方もとても素敵なので、ぜひ参考にしてみてください。
現代女性の8割が抱えている冷えとは?
アパレルのプレスを経て、現在は葉山町で家族と愛犬と暮らしながら、中医薬膳営養師として活動している藤井愛さん。冷えやそれにまつわる影響についてわかりやすく教えてくれました。 「中医学には、まだ病は発症していないけれど、病に向かっている身体の状態=未病という言葉あります。未病をケアすることで、病に至るのを防ぐという考え方なんです。“冷え”はまさにこの未病のひとつです。今は冷えの症状だけだとしても、その冷えが何年も続いたら子宮内膜症や、腫瘍の原因になってしまうかもしれない。人は体温が下がると免疫力が30%も低下すると言われています。冷え性はひどくなると、頻尿、自律神経失調症、月経不順、月経痛、不眠など様々な症状を引き起こします」。
身体の冬支度も日々の暮らしから
一見、たいしたことがないからと見過ごしがちな身体からのサイン。しかし、それは日々の積み重ねとなっていきます。藤井さんによると、秋の過ごし方が冬の健康にも影響を及ぼすそう。 「例えばクマが冬眠するように、冬は自然界も様々なものが内にこもる季節ですよね。私たち人間も同じで、冬を迎える準備が必要です。冬に備えるには、“食養生”が一番大切なんです。養生というと、難しく聞こえてしまうかもしれませんが、“自分の身体の声に耳をかたむけて、ちょっとしたことを気をつける”ということです。例えば、生野菜は身体を冷やすので、スープでとる。外食の時に出てくる氷水は控えて、常温の水を飲むようにする。ひとつ一つは簡単なことですが、日々の暮らしの積み重ねが身体に影響を及ぼすので侮れません。取り入れやすいことから、始めて免疫力や女性力を高めて、健康的な心と身体づくりができるといいですね」。
あなたはどの冷えタイプ? 簡単診断で今すぐチェックを。
冷えとひとくちにいっても、そのタイプは様々でタイプによりアプローチも異なります。簡単な項目をチェックし、もっとも多くにチェックがついたものがあなたの冷えタイプです。藤井さんによる取り入れたほうがいい食材やコメントも合わせて参考に。
- 気虚(ききょ) -
From Ai Fujii
「字のごとく、気力が足りない。元気がなく疲れやすいタイプです。消化吸収を行う力が低下して食べてもエネルギーがうまく作り出せないために冷えが起きています。胃腸に負担をかけない食生活に切り替えましょう」。
CHECK LIST
・下痢、軟便傾向がある。
・顔が白っぽい、顔がたるみやすい。
・胃腸が弱く、胃下垂気味。
・食べたあとすぐ眠くなる。
・疲れやすく、夕方には休みたくなる。
取り入れたい食材
生姜・舞茸・鮭・棗・ネギ・カブ・豆類・山芋・サツマイモ・たら・じゃがいも・骨つき鶏肉
- 腎虚(じんきょ) -
From Ai Fujii
「ひと言でいえば、若々しさが足りないタイプ。五臓の中の“腎”は成長や発育、生命エネルギー(精)を貯めておく機能があります。この腎の機能が弱まり、身体を温める力が不足してしまっているので、水分の過剰摂取は控えましょう」。
CHECK LIST
・全身に強い冷えがある。
・夜寝ていても何度かトイレに起きる。
・足腰がだるい。
・長時間立っていると腰痛に。
・抜け毛や髪のコシが弱い。
取り入れたい食材
牡蠣・黒豆・ブロッコリー・もち米・黒豆・あさり・黒ごま・ひじき・すっぽん・山芋・くるみ・ナッツ類
- 気滞瘀血(きたいおけつ) -
From Ai Fujii
「気と血の巡りが悪くて冷えてしまうタイプ。ストレスなどで気が停滞して、血の流れや巡りが悪くなって冷えが起きてしまっています。仕事で座りっぱなしの現代女性に多いタイプの冷えです。適度な運動で血行を良くすることを心がけましょう。ウォーキングでは、胸の下から足が生えているようなイメージで大股歩きがおすすめです」。
CHECK LIST
・胸がはる感じがする。
・肩や首が凝る。
・生理痛が重く、血が黒っぽく塊がある。
・便秘と下痢を繰り返す。
・手足の先が冷える(末端冷え性)
取り入れたい食材
気の巡りを良くする食材 - ゆず・セロリ・蕎麦・カジキマグロ・らっきょう・ピーマン・香菜・グレープフルーツ・ジャスミン
血流を良くする食材 - さんま・にら・ねぎ・にんにく・黒キクラゲ・生姜・黒米・ウコン・ブルーベリー・ローズマリー
身体を冷やさないためには、日頃から足首やお腹周りをカバーしておくことが大切です。冬は特に冷えてしまうので、ボトムの下に簡単に温められるインナーを着込んでおくと安心です。おうちでリラックス中も、ニットレッグウォーマーや肉厚ソックスなどをプラスして外気による冷えから身体を守りましょう。
自分自身歳を重ねるたびに「ちょっと頭が痛いな」とか、「身体が重くてだるいな」といった“なんとなく不調”が増えていました。今回テーマの冷えもまさにそんな不調の一つでした。今回の取材で私の中で点在していた自分の身体への疑問が、「あーそういうことだったのね」という線になる思いがしました。この連載がみなさんにとってもそのようなものになることを願っています。次回は、具体的な体質別の改善アプローチになりますので、楽しみにしていてくださいね!
TEXT: AYAKO UENO
PHOTO: SOICHI ISHIDA
ILLUSTRATION: AIMI ODAWARA
エディター AYAKO
雑誌のビューティ担当などを経てフリーに。気になるコスメや美容法はすぐにトライする派で最近はインナービューティに興味津々。
料理と美味しいお店探しも大好きな食いしん坊。