
IN THE KITCHENあの人の台所 VOL. 07 山口萌菜さん Cyōdo店主
2022.08.29
クリエイターのキッチンを訪ねる連載IN THE KITCHENは、今回が最終回。
東京、幡ヶ谷にある、ナチュラルワインを楽しめるビストロCyōdoの店主、山口萌菜さんが登場します。Life&Beauty by JUN ONLINEのラインナップから気になるアイテムを選んでいただき、モノ選びのこだわりや道具使いのヒントを教えてもらいました。
山口萌菜さん
1996年生まれ。幼少期にヨーロッパで生活し、身近に感じていたフランスの家庭料理とお気に入りのナチュラルワインが人気のビストロCyōdoを営む。3月に東京、代々木八幡から幡ヶ谷へ移転したばかり。店名はコンセプトでもある「ちょうどいい落ち着ける場所」に由来している。
Cyōdo 東京都渋谷区本町6-37-10
Instagram:
@cyodo_official
お店の名前に込められた想いと、新しくオープンした店舗


カウンターが7席、奥のテーブル席は4席。「ちょうどいい」がコンセプトで、お客様との関わり方も、メニュー展開も心地の良さを第一に考えるのがCyōdoらしさだと語る山口萌菜さん。
「Cyōdoは基本的にはお酒のお店ですが、お昼どきにコーヒも提供もしていますし、軽く食事を済ませたい方に向けたフードも用意しています。もちろん、しっかり食べたいという方のためのメニューも。お客様の使いたい時の気持ちにフィットできるようなちょうどいいところを探っています」
19歳で上京して、レストランで働いていた山口さんは並行して、モデルのお仕事や事務の仕事をしたこともあるそうです。
「最初はどうしても自分の店を持ちたいという気持ちはあまりなく、とにかく料理に関わる仕事をしていきたいと思っていました。幼少期からピアニストを目指して習い事漬けの日々を過ごしていて、自分が本当に何がやりたいのか・向いているのかを考える隙がありませんでした。19歳の時に挫折して上京してからは、レストランで働きながらモデルのお仕事をしていましたが、なかなか思うような自分にはなれず。共通していたのは、料理上手な母親の影響でどの時期も食べることと作ることが癒しになっていたこと。色々なタイミングが重なってお店を持つことになってから大変なことはたくさんありますが、自分にとても合っている仕事だと感じています。タイミングとチャンスに恵まれました」
パリのカフェやビストロからヒントを得た店内には、
様々な国の食器やグラスが並ぶ




もともとは代々木八幡にあったCyōdoは、今年になって幡ヶ谷へ移転。新店舗をリノベーションするにあたり、イメージしたのはパリのカフェのような空間だったといいます。
「日が明るい時間帯だけではなく、深夜に訪れても少しフードをつまめたり、デザートとワインを楽しむことができる場所。そんな空間にしたいと設計士さんに、伝えていました。自由な空間でありながらクラシックなところに立ち帰る、一本筋の通った意志や思想を忘れたくないというのが私の思いで、昔ながらの喫茶店のような色の濃い木色にしています。カウンターが奥にかけて丸みを帯びてカーブするアールになっているところや、エントランス上部のアーチ型もこだわりです」
お店の前に突き出た小テーブルがあり、外飲みができるスペースを設けたのも山口さんのアイディア。すぐに外飲みのお客様とやり取りができる小窓も、店構えのポイントになっています。どれも山口さんが好きなお店や、写真、エッセイから思い描いていた空間を設計士さんと一緒に形にしていったそうです。




フランス現地で過ごした思い出と母の味がヒントになったメニュー


山口さんが料理の道を志すようになったのは、お母さんが料理上手だったこと、幼少期にお父さんの仕事の影響でヨーロッパの田舎を転々とし生活した原体験から。フランスで生活した経験やクラシック音楽を学んでいた経験から西洋の食事には親しみがあり、家庭でもヨーロッパの食事を作ったり食べたりする習慣が根付いていたそうです。また、ご実家が料理本で溢れていたことも、山口さんが料理に親しみを持つきっかけになっているのだといいます。
「思い出深いメニューはグラタンやサラダニソワーズ、ガトーショコラなど・・・。風邪をひいた時の苺のババロアは大好物でした。大人になって外食の時に必ず食べたいメニューは、パテ・ド・カンパーニュ。自身で作ることも大好きなので研究の意味合いもあり、オーダーすることが多いです。肉を挽いて、水分量や塩味を調整し、乳化させたのちに低温で火を入れていくのですが、肉を極力冷たい状態に保ちつつ練る工程や、焼成までいくともう後戻りできないその緊張感が好きで。料理はなんでもそうですが想像力を働かせながら作る過程がとても面白いです」
お店で出しているパテ・ド・カンパーニュのこだわりは、幡ヶ谷の商店街にあるミートショップ・グルメ・ナカムラさんから仕入れていること。せっかく商店街に引っ越してきたので、周囲のお店のもので作るようにしているのだそうです。
「パンと一緒に食べた時に美味しいと思えるものを目指しています。パンは隣接したベーカリー、steppinから。少しだけ酸味のあるパン・オ・ルバンを仕入れています。何にでも合う、とても食欲が刺激されるパンです」
壁面には友人やお客さんから贈られたドローイングやカリグラフィーが


そんなお店のコンセプトが好評で、Cyōdoには楽しいお客様やお店を支えるスタッフが集うのだといいます。店内には、様々な人が来店した軌跡が伺えます。
「ポスターはお店の一周年を記念して、ロゴを作ってもらっているデザイナーに作ってもらったもの。フランス語で“棚から牡丹餅”という意味の慣用句が書いてあり、直訳すると“焼いた鶉が空から落ちてくる”に。男性の頭にワインが注がれているのは、その言葉を表しています。それから、私の名前をしたためてくださったお客様の書。この本は、フランス人の友人が私が店を始めたことを知って送ってきてくれた本。フランスのレジェンド的なビストロがたくさん紹介されています。彼はとても味のある絵を描くのですが、ユーモアのある絵を添えて贈ってくれました。メニューの扉絵に使わせてもらっています」
こだわりが詰まったグラスやストロー、ティーセットなどが




ナチュールワインをメインに扱うCyōdoのお店のオフィシャルなカテゴリーは、ワインバー。営業は15時から22時までで、この理由は、アペロ(=アペリティフ。夕食の前にお酒と軽いフードを楽しむフランスの食文化)を楽しんでほしいという思いから。キッチンにあるお皿やグラスも、本場フランスさながらの取り揃えです。
「ゴールドのお砂糖入れは、自動で開く優れもの。イタリアのアンティークで、コーヒーを飲む方に出しています。ティーカップはアンティークショップを営んでいる方から譲り受けたもので、ロシアのヴィンテージカップ。お皿はイタリアのサタルニアを愛用しています。ワイングラスは、薄い口当たりのものも素敵ですが、うちでは気軽に飲んでもらいたいので、えが太くて安定感があり、コンパクトで飲みやすいINAOのテイスティング・グラスを使っています。それから、ジンでカクテルを作るときのワイングラス。お水用の水差しはチュコのもので、ぷっくりしたシルエットが気に入っています。円柱型のグラスは、ソフトドリンク用。グラスに赤いストローをさすのがフランスらしくて好きなので、気に入っています。お水のグラスはボルミオリロッコ。使っているお店も多いですが、背が低いフォルムが使いすく。見た目もかわいいです」
カフェやビストロへの憧れとフランスで生活した記憶から、道具にこだわりと美学が宿る山口萌菜さん。彼女が使ってみたいLife&Beauty by JUN ONLINEの取り扱いアイテムをチェック。

心を和ませ、眠りにいざなう固形タイプのインセンス

好みのサイズに砕いて、火をつけて楽しむタイプのお香。寝る前に部屋で焚いたらよく眠れそうな、サンダルウッドとバルガの香りです。Dream Timeというネーミングも可愛らしいセンスだと思いました。少し甘い香りが好み。ナチュラルな原料だけで作ったオーガニック系の香りは、自然と心が落ち着きます。
小ぶりなフラワーベースはカウンターに置いて、一輪挿しに

お店で使いたいと思い、セレクトしました。今度、カウンターに小さい照明代わりにオイルランプをつける予定で、その近くにこの花器を一個ずつ並べて薄紫色の小さなお花を挿したいと考えています。お店に飾っているお花は、月に3回フラワーショップLANDさんに来てもらっています。お花が変わると、ガラリとお店のムードが変わるので楽しみにしています。
軽いテクスチャーが肌馴染みがいい、ハンドクリーム


マカデミアナッツとシトラス系などが、ほのかに甘く優しい香り。ゆるいテクスチャーでとても伸びがよく、肌になじんでいく感じが心地いいです。ハンドクリームは仕事柄、手放せないアイテム。ベタつきがなくしっとりするので、ストレスなく使えそうです。
血の巡りを良くする芍薬がたっぷり入ったハーブティー

お茶は大好きなのでお家で楽しみたくて選びました。芍薬の花びらが美しく、色もきれいで、目でも楽しめるお茶だと思いました。このフレーバーを選んだ理由は、生理の時に貧血になってしまうことがあるので効用を期待しています。生姜の香りがして、血行が良くなって体内の巡りが良くなりそうです。
マルチバームは指先や毛先につけて乾燥知らず

お店で天然のミツロウのワークショップを開催したことがあり、マルチユースなバームを作った経験から、ミツロウの保湿力は実感していました。これ一つで手やネイル、髪の毛にも使えるのがいいですね。オレンジやラベンダーをミックスした爽やかな香りも好みでした。出先で唇の乾燥を感じた時やちょっと髪の毛を直したい時、指先に付けたい時、どんな時も持っていれば安心ですね。印象的なパッケージも、気に入っています
心地よいジャズのピアノの旋律が響くCyōdoの店内。お昼の後のデザートやコーヒタイムに、またはディナータイムの前後に、アペロやデザートを楽しみに。思い思いのスタイルで訪れたい、注目のワインバーです。
TEXT: AIKA KAWADA
PHOTO: SOICHI ISHIDA
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エディター AIKA
大学卒業後、語学と服飾デザインを学びにパリへ。バイトで始めた編集・ライターが本業になり、ファッションやビューティを中心に執筆。週末は映画とビオワイン、パンがあれば幸せ。瞑想とアーユルヴェーダが気になる。