IN THE KITCHENあの人の台所 VOL. 05 小池花恵さん and recipe主宰
2022.03.25
「IN THE KITCHEN」連載第5回目は、料理ユニット「and recipe」の小池花恵さんが登場。レシピ開発やケータリング、飲食店プロデュースなどを通して料理の楽しさを伝えるand recipe。自身の事務所兼キッチンにて、Life&Beauty by JUN ONLINEでセレクトいただいたアイテムについて、その魅力に迫ります。
小池花恵さん
株式会社「and recipe」のプロデューサー。料理家の山田英季とともに、レシピ開発、ケータリング、飲食店プロデュース、旅と食をテーマとしたコンテンツ制作、通信販売事業などを行う。写真家のマネージャー業もするなど、幅広く活動する。レシピ本『冷蔵庫にあるもんで』(幻冬舎)が発売中。
and recipe Instagram:
@andrecipe
キッチンを兼ねた事務所にある調理用具、器、本のひみつ
「旅が好きで、韓国や東南アジア、台湾、ネパールなどによく行きます。海外に出る度に楽しみなのが、現地で出合うお皿やカトラリー、台所道具を買い集めること。気がつくとかなりの量に」
小池花恵さんと料理家の山田英季さんの料理ユニット「and recipe」の事務所兼キッチンは、撮影スタジオ機能もある万能スペース。ご友人の協力でつくってもらったアイランドキッチンや、DIYで取り付けた木棚には、調理道具や調味料、書籍が所狭しと並んでいます。カテゴリーごとに固めてしまって、ぱっと見で何がどこにあるかがわかる、そんな収納法がキッチンでの作業に役立っているそう。
「見た目が可愛いし、その国や土地の文化を知れるものが大好き。旅先では道具、器は必ずみていますね。器や道具を作っている工房を訪れることもあります」
キッチンの作業台の前には、木箱を引き出しに見立てた戸棚が。中を見てみると、個性豊かなカトラリーがぎっしり。様々な国の蚤の市やガレージセールで見つけたスプーンやフォーク、さらには日本各地で出合ったごはん茶碗やお椀、和食器も。種類も素材もばらばら。そんな不揃いが集まることで生じるハーモニーを愛しく思い、楽しむのが「and recipe」流です。
「ネパールで見つけた小さな鍋とミニジョッキ。チープだけど、なかなか出合えないデザインやサイズに惹かれて購入しました。それから、大好きな韓国の土鍋。これで白米を炊くとしっとり出来上がって美味しいんです。日本の羽釜に近い感覚ですね。どちらも高価なものでない生活に根ざしたもので、手軽なサイズと使い勝手の良さが気に入って愛用中です」
かごやザルにもつくられた国の“らしさ”が見て取れるという小池さん。異国情緒ただよう金属製のトレーやプレート、夏のおやつの撮影で活躍した白熊のオブジェに、味わい深い表情のおじさんがかわいいロシア製の塩と胡椒のミルなど。いろいろな所から多国籍でキッチュなアイテムが顔を覗かせるキッチンは、まるで旅先のバザールのような賑やかさです。
「インド製の金属のプレートやトレーは、なかなかない大きめのサイズなのにとても軽くて、ケータリングなどにぴったり。安いアルミ製はお肉料理やフィンガーフードを並べるととても映えて喜ばれます。おじさんミルは、ウラジオストックへ行ったときに購入。ペリメニ、ボルシチ、ポテト、豚肉料理などにたっぷりのディルが乗った食事が、とても美味しかった思い出があります」
キッチンのスペースを有効利用。レンジフードの上などちょっとした場所にも、鍋やフライパン、かごが重ねられています。金属製のすりおろし器や計量カップも、お手製のフックに吊るして。
「もちろん収納することは大事ですが、並べっぱなしの面白さや見せる楽しみもありますよね。弊社の収納のルールや決まりごとはなしです(笑)」
透明感のあるグラスやガラスの器、銀食器風のティーセット、異国情緒たっぷりの平皿、白熊のオブジェ、ドライフラワー…。出窓のスペースにあるアイテムはどれも「and recipe」のレシピ撮影で使ったもの。
「ちょっとしたプロップを料理と一緒に撮ると、よりイマジネーションを刺激して美味しそうに見えたり、グッと世界観に奥行きが出ますよね。セカンドハンドのショップなどで購入したものにも古いものにしかない味があって、撮影がおわったあとには、ものが増えていく一方です(笑)」
本棚はお仕事で使う資料や書籍、山田さんの著書、さらには寄稿や出演した雑誌などが並んでいます。中にはVOGUEなどの古雑誌も。片付けたいと思いながらも、この雑多な感じが気に入っているのだそう。
「2020年、コロナによってさまざまな活動が制限されたときに、毎日noteで更新していたレシピが1冊になったのが『冷蔵庫にあるもんで』です。外食ができない中で、皆さんにおうち時間をいかに楽しくすごしてもらうか。やっぱりそこはレシピの出番だろうと。
おいしいものを囲んで、心をゆるめて、体をリラックスさせてほしい。そんな願いもこめて、毎日レシピを更新していました。and recipeは二人とも旅が好きなんですが、旅に出て得ることができる新しい体験や人との出会いも、やっぱりごはんを介してということがとても多かったです。まだしばらくは、自由に好きな場所に移動することは難しい時期が続きそうですが、次にどこに行こうか脳内のシミュレーションはばっちり。また食を通じて新しい人たちに出会い、新しいおいしさに出会って、その国の、その場所の空気まるごとレシピやコンテンツにして届けられる仕事をつづけていきたいですね」
Life&Beauty by JUN ONLINEから小池花恵さんが気になるアイテムをセレクト。ご自宅やアトリエで「使ってみたい」と思った食器や調理道具、プロダクトをご紹介します。
サイズも色も合わせないことで食卓を楽しく
「オーバル型のお皿は、よく使用しています。盛り付けると美味しそうに見えて、誰かとシェアしたくなるんです。黒にはフルーツ、キムチ、サラダなど色を鮮やかに見せたいメニューを。白には、おにぎり、サンドイッチなど白い食べ物を載せて使いたいですね。サイズが小さい方は、取り皿や副菜、デザート用に。薄くて反りが少ないデザインなので、お菓子やパンを盛り付けてもいいですね」
どこでもシュッと吹きかけて使える手軽さが魅力
「まず目を奪われたのが、パッケージのデザイン。清潔感があってシンプルでキッチンにあったら気持ちいいだろうなと思いました。さらに、クセのないオレンジの香りと、オーガニックで地球環境に優しいのも高ポイント。普段はウタマロのクリーナーを使って、台所周りからトイレまでどこでも掃除しているんですが、こちらを使ってみようと思います」
洗いにくい花瓶にぴったり。長い取っ手の木製ブラシ
「ブラシって調理道具の中でも好きな道具なんです。自宅ではブラシを壁にかけて置いているのですが、よくあるプラスチック製ではなく、インポートらしい見た目のかっこ良さに惹かれてしまいました。いつも中までちゃんと洗えないと思っていた長細い花瓶に使ってみたいですね。エコフレンドリーな原料も捨てるときに自然環境の負担が少なく、有難いですね」
使用率No.1のキッチンクロスは高い吸水性が肝
「乾拭き用のキッチンクロスは、仕事で大量に使っています。台湾の真っ白な布巾を愛用しているのですが、このフランス製のキッチンクロスも水分をよく吸ってくれそうな予感。ラインが入ったデザインも可愛いですし、布地もかなり強そう。すぐに破けてしまうものが多いので、頑丈な生地でさらにリサイクル繊維なところもいいですね」
人の心を和ませることが料理の魅力だと語る小池花恵さん。最近のマイブームは発酵食品で、発酵による食材の変化に興味があるといいます。また、韓国好きが高じて始めた韓国語に加えて、中国語も勉強中。そんな人との関わりを楽しみ、常に好奇心旺盛な彼女のキッチン兼事務所には、“好き”から生まれるクリエイティブなエネルギーに溢れていました。
TEXT: AIKA KAWADA
PHOTO: SOICHI ISHIDA
エディター AIKA
大学卒業後、語学と服飾デザインを学びにパリへ。
バイトで始めた編集・ライターが本業になり、ファッションやビューティを中心に執筆。
週末は映画とビオワイン、パンがあれば幸せ。
瞑想とアーユルヴェーダが気になる。