IN MY ROOMDIY、リサイクル、自然素材を工夫した快適な暮らし VOL.06 細沼ちえさん/スタイリスト

2024.04.19

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お宅訪問の連載6回目は、スタイリストの細沼ちえさんのお宅に。リビングの大きな窓を生かしたレイアウト術、板を応用したDIY、ワインやりんごの小箱を家具に見立てるテクニックは、アイデアの宝庫。そのコツと細沼さんお気に入りのLife&Beauty by JUN ONLINEのアイテムをご紹介します。

細沼ちえ

埼玉県出身。アパレル会社に勤務後、スタイリストアシスタントを経て、2009年に独立。雑誌やウェブマガジンなどファッションメディア、ブランドのカタログ、広告、アーティストのスタイリングまで幅広く手がける。空間演出も含めた、ファッッションのスタイリングが得意。

Instagram: @chienuma

季節の移ろいを感じられる大きな窓が主役


ファッションをメインに、人物を含めた背景やテーブルコーディネートの領域までスタイリングを手がけている細沼ちえさん。主にウィメンズのファッションのスタイリングの仕事をしていたところ、一緒に働いていた編集者に洋服と一緒に集めてくる小物や雑貨がかわいいと好評で、インテリアや物のスタイリングも手がけるようになったそう。

2023年からは、念願の東京都と香川県の2拠点生活にチャレンジ中。

「いま、東京で住んでいるワンルームは、70年代の集合住宅をリノベーションした物件です。もともと60平米の広い部屋に住んでいたのですが、2拠点生活をしたいと思いコンパクトな部屋へ引っ越しました。インターネットのサイトで平米数と日当たり、収納と最低限の条件に絞って検索したところ、この物件にヒットし一目惚れ。大きな窓と無垢の床が気に入りました。春は窓から梅の花が見えるんです」。

細沼さんと香川県の出合いは、2019年に開催された瀬戸内国際芸術祭。訪れたときに、穏やかな海と美味しいご飯に心を掴まれたといいます。

「町と自然が近くて、小さな島もいっぱいある。誰もいないビーチの海で泳いだり、船に乗って島に行ったり。移住ではなく、2拠点がいまの自分にはバランスが良いのかなと模索しています。自然が大好きなので、部屋の中に置くものも自然の素材や少し土っぽさがあるものが気付くと増えていました」。

リビングルームの中心で際立っているのは、エキゾチックなラグとその上に鎮座する大きなローテーブル。

「仕事で扱うからか、高価なブランドものに憧れることがあまりなくて(笑)。それよりも自分の身の丈にあったものを見つける宝探しみたいなことが好き。古着屋さんや旅先でピンときたものなど、何でもないものに価値を見出すことが面白いと思っています。ローテーブルは前の家のウォークインクローゼットで使っていた木の板を自分で張り合わせたもので、ラグは旅先のチュニジアで価格交渉の末に、現地価格で手に入れたものです」。

窓際に並んだ本棚はよく見ると、ワインボックスを横に寝かせて再利用したもの。

「引っ越しするときはダンボールを極力使わずに、本や雑貨をこの箱に入れて運び出しています。この方法は、スタイリストの仕事でものを大量に移動させる中で見つけた、一番楽な方法なんです。引っ越しでダンボールを使って捨てるのも、住む物件が変わるたびに家具を捨てたり、新しく家具を買い直すのも嫌で」。

ワインボックスの本棚の上には、珍しくて飛び切りチャーミングなものばかり。

「一番のお気に入りはラクダの水差し。ドバイの空港で見つけたのですが、大量に同じものが陳列されているなか、吟味して顔が一番しっくりくるものを選びました。最近はお花を挿しています。旅行は大好きで、日本ではあまり聞き馴染みのない国へ友人が誘ってくれることが多く、訪れた国は、スリランカ、チュニジア、シエラレオネなど…17カ国。旅先では、その国に住む人たちの生活を見るのが楽しみです」。

他にも、フラスコ型の〈エンダースキーマ〉のフラワーベースや、小さなグリーンやオブジェ、スーベニアに、旅の雑誌や洋書などが仲良く並んでいます。

引っ越しするたびにカスタムして取り付けるDIY棚

部屋の中に家具らしい家具がほとんどないという細沼さん。キッチンとベッドルームをわける棚も自ら作ったといいます。

「この棚は前の家でも使っていたもので、全部組み替えてDIYし、引っ越しして高さが合わなくなった部分だけ新たに板を付け足しました。大好きなアート作品や写真を貼り、フックを付けて雑貨を吊るしたりカメラなどが並べたりしています。引っ越す時は全部崩して部品になり、物件が変わってもカスタムして使い続けています」

「2段目の鏡がある棚はアクセサリーを着けたり外したり、朝にお香を焚くスペース。オンとオフの切り替えとなる場所になっています」。

「カメラは父親が譲ってくれていた古いもので、よく私を撮ってくれていました。使いこなせていませんが、思い入れのあるカメラです」。

調理具は自然素材、小物はカラーレスでまとめたキッチン

効果的にヴィヴィッドな色を使っている細沼さん宅は、キッチンだけは色使いが控えめ。

「キッチンは無彩色で統一しています。生活感が出てしまう食品やプロダクトのパッケージは、統一した瓶や容器に移し替えたり、棚の中にしまったりしています。瓶や容器は繰り返し使えるので、重宝していますね。見た目がすっきりした方が清潔感もありますし、空間に緩急が出せます」。

キッチンの前に置いたステンレス製の台の上には、福岡のセレクトショップ「ライトイヤーズ」で購入した照明が。圧迫感がない小ぶりのサイズで、キッチンを広々とした空間に演出しています。

「引っ越す少し前に購入して、似合う家に越したら使おうと思い、ずっと持っていたんです。使えるようになって嬉しいですね」。

キッチンに並ぶ調理器具も、長く使えるものを選んでいるそう。

「できるだけ自然な素材のものを選んでいて、プラスチックのものは極力置かないようにしています。プラゴミを出したくないので。鉄のフライパンは育てていく感じなので、どんどん使いやすくなっています。おすすめなのは、合羽橋で購入した竹製の大根おろしです。鬼おろしっていうんですが、大根を粗くおろせて、しらすと和え物にするのにぴったり」。

「食器は、旅先で購入したものがほとんど。旅は買い物が目的ではなく何か手に入れたいものがあるわけでもないのですが、現地で気に入っていたものがあったときのみ買っています。その他にも、実家にあったものや祖父母が使ってきたものを引き継いで使っています」。

自然光が降り注ぎ、差し色が映えるベッドルーム

シンプルに白を基調にしたベッド周りは、グラフィカルなクッションカバーとサボテンとライオンのぬいぐるみで遊び心をプラス。

「ベッドも足つきなものだと高さが出て圧迫感が出るので、部屋の中が広く感じられるように足がないタイプを使っています。ランプを置いているサイドテーブルは古いスツール。反対側の収納はリンゴ箱を再利用。引っ越し先の物件によってサイドテーブルにしたり、本棚にしたりして工夫しています」。

窓際に置いた数々のグリーンは、細沼さんがずっと育ててきたものばかり。カラフルな植木鉢やフラワーベースは、植物をより元気に見せてくるアイテムで、空間をさらに明るくしてくれます。

「日当たりのいい部屋なので、植物たちの調子がいいんです。中には友人から株分けしてもらったものもあるんですよ。葉や枝が伸びすぎてバランスが悪くならないように定期的に剪定をしています」。

香川や旅先で出合ったアート作品の数々

アートも好きな細沼さん。部屋に点在する作品の数々にも目を奪われます。
作品選びには、あまりアーティストの有名無名にとらわれず、自分が共感できるものや直感で面白いものを選んで置いているといいます。自分自身を投影できるような作品を手に入れて、自ら額装するのも楽しみのひとつだと語ってくれました。

「香川県にまいまい亭という郷土料理屋さんがあったのですが、そちらで飾られていた香川県出身のアーティスト川島猛さんの作品です。その下の椅子は、お正月にとあるお家の前に“ご自由にどうぞ”と書いたメモ書きとともに置いてあったんです。お家の方に許可をもらって、いただいた椅子です。肘置きが動物の顔みたいになっているのですが、イタリア製だそうです」。

キッチンのステンレス台の上には埴輪が。

「益子の陶器市に行った際に、埴輪を売っているおじいさんから購入しました。可愛い表情に魅力を感じて。一度落として割れてしまったので、趣味の金継ぎをしました。金継ぎは接着剤やパテを使った簡易金継ぎをしていますが、時々、希望者を募ってワークショップを開催することもあります」。

べッドの脇には、曲線と色使いが美しい大きめのサイズの作品をディスプレイ。白い壁と植物の色にも自然とマッチしています。

「abetakuramaさんというアーティストの作品で、部屋の中が明るくなるのでずっと気に入って飾っています」。

リビングの壁に立てかけられたアート作品とマスキングテープでラフに貼られた数々のイラストレーション。

「部屋の中で一番大きい絵は、ベッド横の作品と同じabetakuramaさんの作品。壁に貼っているのは、イラストや絵が素敵だったフライヤーなど。ブルーの人の顔のイラストはRyoma Ichikawaさん、その左下はスタイリストの本間園子さんが描いたもの。小さいのは長野県にあるVRACバラックマーケットというお店のポイントカードで(笑)。子供が描いたものだそうで、かわいいんです」。

スタイリスト、細沼ちえさんが気になるアイテム

いつもの香りのアイテムに変化をもたらす、お香とルームスプレー

「お香はいつもスティックタイプを焚いています。普段は白檀の香りが落ち着くので愛用しています。甘すぎない香りが好きなので、〈P.F.Candle Co.(ピーエフキャンドル)〉のお香はセージが入っているDUSKを選びました。チョコレートの箱みたいなパッケージもキャッチーでいいですよね。実際に使ってみると、スティックタイプよりもコーンタイプの方が香りが強く出る気がします。〈POTS〉のルームスプレー『BIRD SONG』は気が向いたときに空間に吹きかけて、気分転換に使っています」。

どこへでも連れて行けるライト付き携帯用スピーカー

「家の中ではラジオがBGM代わりなため、Bluetooth機能のあるスピーカーは欠かせません。KREAFUNKのスピーカーは防水でライト付き。とても軽くて、どこでもくっつくマグネット仕様になっているので、キッチンやバスルーム、屋外でも使えます。コンパクトなので、次に香川に行くときに持っていこうと思っています。デンマークのブランドということで、デザインもカラーリングも洗練されている。価格が想像よりリーズナブルな点にも驚きました」。

L&B

【KREAFUNK / クレアファンク】aLIGHT エーライト Bluetoothスピーカー

¥6,930

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グラフィカルな曲線の柄がインテリアのポイントに

「〈beej(ビージ)〉というブランドについては初めて知りましたが、このクッションカバーを一目見て、家に似合いそうだなと思い選びました。実際に置いてみたら、ぴったりで(笑)。前からあったみたいです。生産がインドで行われているのも好感度が高いですね。ベッドの枕元はもちろん、リビングで本を読むときにも活用できたらと思っています。他にも展開している色があるのですが、色によって全く印象が異なるのも面白い」。

自分のポリシーや価値観を住まいで表現している細沼ちえさん。旅が好きで、海や川、石、木といった自然の美しさを好む彼女らしく、自然環境を配慮した引っ越し術やアイテム選び、インテリアコーディネートも印象的です。等身大の自分を映す鏡として、住まいの環境や買い物の仕方など、ライフスタイルを見直してみたいと思うような素敵な住まいです。

PHOTO: SOICHI ISHIDA
TEXT: AIKA KAWADA

雑誌のビューティ担当などを経てフリーに。気になるコスメや美容法はすぐにトライする派で最近はインナービューティに興味津々。料理と美味しいお店探しも大好きな食いしん坊。

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