MADE IN JAPAN器量よし。日本生まれのキッチン道具
2020.09.24
おうち時間が増え、家中の雑貨や道具類を見直すいい機会になりました。特に毎日使うキッチンツールはシビアに見極め。戦力外通告を受けたものもいくつかある一方、心躍るような新たな出合いもありました。やはり、使い勝手がよく見た目も美しいメイド・イン・ジャパンの道具にはグッとくるものがありますね。「料理好きは道具好き」とはよく言われますが、「大して料理好きじゃなくても道具にはこだわりたい」という筆者のようなタイプも少なからずいるはず! そこで今回は、いつもの料理や食事がランクアップする日本生まれの名品にフォーカス。「SALON adam et rope'(サロン アダム エ ロペ)」からお届けします。
食卓でもサマになる、機能美あふれる調理器具。
毎日の料理に欠かせないバットとボウル。鋳造技術で有名な富山県高岡市にある北陸アルミニウムのそれは、ノスタルジックな佇まいに心をくすぐられます。アルマイト加工が施されていて、表面が黒ずんだりメッキのように剥がれ落ちる心配なし。さらに軽くて丈夫なので、取り出すにも洗うにもストレスフリー。 取っ手付きのボウルは、器としても映えるスタイリッシュなデザインです。そのまま火にかけることもできるので、アウトドアや鍋料理にも大活躍。下ごしらえや保存容器、プレート代わりにも使える万能なバットは、いくつあっても重宝しそうです。
ひと手間を楽しみに変換するユーモア。
「レモンは私が絞ります♪」とばかりにウグイスが軽やかに舞い降りる。なんと楽しい食卓でしょう。金属加工のメッカとして知られる新潟県燕市のステンレス器具メーカー、赤川器物製作所のウグイス型レモン絞り器です。モダンなデザインですが、実は1970年代から製造されているロングセラーアイテム。くし形にカットしたレモンをセットしてハンドルを下ろし、そのまま傾けるとくちばしからレモン果汁を注いでくれる、遊び心ある仕組みです。ステンレス製なので錆びに強く、長く寄り添ってくれる逸品。唐揚げにレモンをかける人もかけない人も、これがあれば和やかに食卓を囲めます。家飲みのお供にもぜひ。
シンプルな中に光る細部への気配り。
今や高級品となったバター。せっかくなら美味しさを長く保ちたいですよね。空気に触れると鮮度が一気に落ちるバターは、密閉保存が鉄則。そこでオススメしたいのが、新潟県燕市産「EAトCO(イイトコ)」のバターケースです。ステンレス製のフタは密閉性や保冷性が高く、冷蔵後のニオイ移りを防いでくれます。しかもトレーには切り分けやすいライン入り。こういった細やかな気遣いは、さすが日本製! 無駄を削ぎ落としたミニマルなデザインにも惹かれます。 もうひとつ注目すべきは、同ブランドのステンレス製バターナイフ。刃の片側に小さな穴が開いており、波打つような形状をしています。これでバターを削ると、穴から糸状に出てくるのが目にも楽しいんです。固いバターもスルスル削れて力いらず。しかも「く」の字形なので、使用後そのままテーブルに置いても汚れない! さらにもう片側のギザギザ部分は、トーストのコゲ落としに使える優れもの。抜群の使い心地で、一度使うと手放せなくなりますよ。
常識にとらわれない、新しい伝統工芸のあり方。
お重のようですが、入れるのはお米ではなく食パンです。秋田の工芸品、大館曲げわっぱを製作するりょうび庵では、伝統的な曲げわっぱ以外にも現代のライフスタイルにマッチする独創的なアイテムを打ち出しています。そのひとつが、食パン1斤をまるごと収納できるこのケース。秋田杉の木目が美しく、釘などの金属を使わずに組み立てられた、なめらかな造形に惚れ惚れします。フタを開けるたび、ほのかに漂う杉の香りがまた贅沢!いつもの朝食がリッチな気分で味わえそう。パン好きの人へのギフトにもうってつけです。
「日本の伝統技術」と言われると、ちょっと堅苦しいイメージを持ってしまいますが、ここで紹介したのはどれも親しみやすいデザインばかり。愛嬌はありながらも、ものづくりの背景はしっかりとしていて実用的なのが持ち味です。料理も食事もマジメなだけじゃつまらない。毎日がちょっと楽しくなる道具を選びたいものです。
Text:EIMI HAYASHI
エディター EIMI
広告代理店勤務を経て、フリーランスのエディター/ライターとしての活動を開始。
ファッション誌を中心にコラムやインタビュー記事などを執筆中。
三度の飯よりミステリー好き。