FLOWER ARRANGEMENTフローリストと考える、花器と旬の花
2024.04.12
自由自在で存在感のあるオブジェのような佇まいのガラスのフラワーベース。光を透過し、花の個性的な表情や繊細なディテールを隅々まで映し出してくれます。今回はLife&Beauty by JUN ONLINEがセレクトするフラワーベースからさまざまなフォルムが楽しいガラス花器にフォーカス。フローリストのチーコさんに、ガラスの花器と旬のお花でつくるフラワーアレンジメントを教えてもらいました。
フラワーアレンジメントを教えてくれるのは
フローリスト・チーコさん
Forager
TEL: 03-6875-7141
Instagram: @forager_nishihara_tokyo
【ANDSPACE by TOUCHU】aを使ったアレンジメント
【KEISUKE ISHII】Fuse nf013を使ったアレンジメント
氷のような花器を引き立たせる
グリーンの調べ
光を受けてキラキラ輝く〈KEISUKE ISHII〉の「Fuse nf013」はまるで氷のオブジェのよう。花や水の入れ替えがしやすいよう内側にはガラス管が設けられています。「存在感がある花器なので葉の表面に白い絹毛を持つダスティミラーを軸に、柔らかい印象に仕上げました。全体はグリーンのワントーンでまとめ、あえて毛色の違う植物を合わせて深みを出しています。高・中・低と3種類のグリーンの高さに差をつけることで、上に伸びていくようなシルエットに仕上がり、バランス良くまとまりますよ」(チーコさん)。
【LAN】flowervaseCとperfume bottle vaseを使ったアレンジメント
三者三様のフォルムと
自由気ままなホワイトフラワー
分厚いガラスのぽってりとした質感が印象的な〈LAN〉の花器。アンティークの香水瓶をイメージした「perfume bottle vase」(写真左・中)はフタ部分も花器として使うことができ、短くなった花も最後まで楽しめます。新作の「flower vase C」(写真右)は、ひとつひとつ表情の違う膨らみのあるボディが特徴的。「花器のフォルムを際立たせるために、白いお花を1種類ずつ選んでみました。1種類のお花でも見応えがあってバランスもいいですよね。『perfume bottle vase』のようにお腹にボリュームがある花器はバランスをとるのが難しいので、たわんでいるお花を選ぶと生けやすいですよ。フタ部分は安定感があってお花も立ち上がりやすいので1つ持っておくと便利ですね。スズランのように小花がたくさん連なったお花を合わせると本数が少なくても見応えがあります。『flower vase C』に生けたリューココリーネはあえて細長い茎を切らずに生けることで、重みのある花器でものびやかなイメージになります」(チーコさん)。
【ANDSPACE by TOUCHU】KRZ2とGlass flower longを使ったアレンジメント
花とグリーン、ガラスフラワー
3つの個性を伸びやかに
豊かな自然と人々が共存する軽井沢の地をガラスワークに落とし込んだという〈ANDSPACE by TOUCHU(アンドスペースバイトウチュウ)〉の「KRZ1」。同じ透明ガラスのアンスリウムのガラスフラワーと生花とのコンビネーションがアートピースのような美しい佇まいに仕上げます。「この花器は土台がしっかりとしているので茎が長いお花を生けても倒れにくくて、遊びを入れられます。今回は、縦長なシルエットのフィロデンドロンと、横にくるんと伸びたレオントキール・オバレイを合わせて動きを出してみました。ガラスフラワーは、お花のお世話が苦手な方でも楽しめるので便利ですよね。ガラスだけだと無機質な印象ですが、グリーンが入ることで動きも出て面白くなります。フィロデンドロンのように面が広い葉っぱを合わせるとガラスフラワーがより引き立ちますよ」(チーコさん)。
【ANDSPACE by TOUCHU】onefatとGlass flower long、short を使ったアレンジメント
瑞々しい花と共存するガラスフラワー
ブーケのような丸みで華やかに
こちらのアレンジメントの主役になるのは〈ANDSPACE by TOUCHU(アンドスペースバイトウチュウ)〉のガラスフラワー。ふくよかなボディと安定感のあるグラスの持ち手のような土台が自慢の「onefat」に複数のガラスフラワーと生花を合わせることでさらに華やかさが満点に。「ガラスフラワーをメインに、脇役として引き立たせてくれるユーカリやビバーナム・スノーボールと、動きをつけてくれるギリアを選んでみました。ガラスフラワーはロングとショートを。生花の長さを変えて生けることで、全体の均衡が保つことができます。パフェカップのような形の花器なので、まあるく広がるように生けると全体のシルエットがまとまりやすくなりますよ」(チーコさん)。
まず全体のシルエットをイメージし、そこから生ける花を選ぶことで、それぞれの花器に合った美しいアレンジメントに仕上がるのだそう。お気に入りの花器に旬の花を生ける。その時間が心に静寂と華やぎを与えてくれるはずです。
TEXT:KIRI MASAGAKI(LESEN)